AI革命前夜

人工知能、脳科学などに関する事を語っているブログ。

人工知能

走り始めた人工知能 ChatGPT

走り始めた人工知能 ChatGPT

人工知能の誕生

 なんと実に約6年ぶりの投稿となります。

 このブログは、ディープラーニングが注目され始めた2015年頃に、今後実現されるであろう人工知能技術についてワクワクしながら書き始めたのですが、もう来てしまいました。

 2022年11月、OpenAI社が自然言語による会話を可能にしたChatGPTを公開。

 公開からたった2ヶ月で1億人ユーザーを獲得して話題になったかと思えば、矢継ぎ早にGPT4を公開。GPT4の能力はChatGPTを劇的に凌駕していることが明らかになってきています。

 それはもう「知能」と呼ぶ他ない機能です。

 決して大げさではなく、人類史における最大の転換点と言える「人工知能の誕生」を我々は今、目の当たりにしています。

GPT4の能力

 個人的に驚いたのは結城先生(@hyuki)とGPT4の会話。

 いくら賢いとは言え所詮は単なるプログラム、結城先生にかかったら手のひらの上で転がされるんだな・・と思っていたら?!

 少し長いですが、星新一のSFショートショートを思わせる衝撃的なラストにぞっとすること間違いなし。読み物として非常に面白いので読んでみることをおすすめします。

ChatGPT と結城浩の対話(矛盾や反復を含んだ対話によってAIと人間の識別は行えるか)

 そう遠くない未来に、知ってか知らずか全人類がAIの手のひらの上に乗せられることを確信させられます。

操っているのは言語ではなく概念

 ChatGPTからGPT4への進化もとてつもないですが、真に驚くべき進化はもう既に通り過ぎてしまっています。

 真に驚くべきは、何気ない自然な会話のキャッチボールが、普通に続くことです。

 コンピュータはもともと記憶することや、指示されたアルゴリズムに則って動くこと関しては人間より得意でした。

 ただ、いくら大量に語彙を覚えさせたところで、また、いくら正確に文法をインプットしたところで、人間のように自然言語を操れるようにはなりません。

 自然言語というのは、ソースコードほどカッチリしていないからです。

 ソースコードは一通りにしか解釈できないように作られているので、その意図するところは非常に明確ですが、自然言語には、如何ようにも解釈できる奥深さというか曖昧さがあります。

 特に日本語は英語に比べてあやふやな表現や省略された表現も多く、それを理解するには前後の文脈から意味を推察するという高度な能力を求められます。

 そんなあやふやな自然言語で意志を疎通できるというのが、我々の持つ天然知能の偉大さと言えるかも知れません。

 AI開発の最前線において、自然言語を操れる機械を作るというはとてつもなく大きな壁だったと想像します。

 ほんの1、2年前までは。

 コンピュータの性能が劇的に上がり、数億や数十億というとんでもない量のパラメータを以て、言語が持つ特徴量を解析し始めたことで、AIは少しずつ自然な会話の流れや言葉の連なりを捉え始めたのだと思います。

 おそらくGPT4までになると、単にテキストに対してテキストを返すという表層的なメカニズムを突き詰めたのではなく、兆を超えるとも言われるパラメータを駆使して、無機質なテキストからその向こう側にある「概念」を自ら作り上げることに成功したのでしょう。

 概念ができてしまえば、その概念を表現する言葉をそこにあてがう作業は比較的容易です。

 それは我々人間だってそうです。概念を獲得するのは難しいですが、既に知っている概念にラベル付けする(言葉を当てる)のはそう難しいことではありません。

 そして、出来上がった概念にラベル付けする能力に関しては我々よりも機械の方が圧倒的に優れています。英語で言えば「dog」、日本語では「犬」。フランス語では・・、そんなものは機械なら50ヶ国語でも100ヶ国語でも一瞬で覚えることでしょう。

 言語(記号)を表面的に記憶して操るのではなく、その奥にある概念を理解した上で概念自体をやり取りする、その手段として言語を用いる。GPT4はそのレベルに達したのだと思います。

走り始めた人工知能

 この汎用的かつ柔軟に言語を操ることができるというベースができてしまえば、あとはそこに知識(データ)を食わせるだけで専門家の出来上がりです。

 与えるべきデータはいくらでもあります。経済指標であれ、気象情報であれ、スポーツの結果であれ、あらゆるビッグデータは日々たまり続けています。

 そして、それらのデータの特徴量や相関関係などを抜き出すことは、AIにとってはお手の物です。人間より遥かに的確なはずです。

 最も強烈なブレイクスルーは既に通り過ぎました。

 イーロン・マスクが「ちょ、ちょっとこれ以上学習させるの待ってくれよ。ひとまず6ヶ月ほどストップしないか?ま、まずは安全性を確保してだな・・」と言いたくなるのも分かります。なにせ不眠不休で24時間365日あらゆる知識を飲み込み続けることができるわけですから。

 最初の一歩を踏み出したOpenAIは、他社を寄せ付けない圧倒的なスピードで突き抜けるかも知れません。

 シンギュラリティは2045年?誰だそんな悠長なこと言ったのは?

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