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時間の謎
先日、「時間」とは何か? 「今」とは何か?という記事を書きました。
その記事の中で、「今」という感覚は主観(意識)そのものであり、「時間の流れ」も決して客観的に存在出来るものではなく意識が生み出した単なる感覚でしかないという時間に関する持論(というほど大そうなモノではない)を偉そうに語ったのですが、なんとよく似た仮説を唱えていらっしゃる物理学者がおられたんです。
まあもちろん僕の認識不足というか勉強不足というか、ある意味メジャーな仮説なのかも知れませんが、たまたまAmazonで見つけた本を読んでびっくり仰天しました。
この本の著者、橋元純一郎先生は、東進ハイスクール(今でしょ)で物理学を教えておられたり、SF小説を書いておられたりと、知る人ぞ知る有名なお方のようなのですが、恥ずかしながら存じ上げておりませんでした。(汗)
この本を読み終えてすぐ、あまりの面白さに興奮冷めやらぬまま検索して辿り着いたご本人のブログ及びTwitterアカウントに突撃したところ、ご丁寧に返事を下さって、しかもフォローまでして下さいました。凄いお方なのになんて親しみやすく優しいお方なんでしょう。
橋元先生、その節はありがとうございました。
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橋元先生の時間論
橋元先生の仮説は、僕の思い付きみたいなのとはわけが違います。当たり前です。
僕は脳活動(意識)と時間の流れに深い関係を見出しましたが、橋元先生は脳だとか意識だとかよりもっと根源的な、生命が持つ主体的意志というものが時間の流れを生んでいるとおっしゃっています。
主体的意志というのは、脳のような特別な器官によって発現するものではなく、植物や単細胞生物のような下等な生物にもある、生命を生命たらしめるシステムそのものを指しています。
エントロピーの増大に抗う形で、バラバラだった分子たちが繋がって外部との境目を持つことで内的空間を有し、一つの有機体(細胞)となる。そしてその特殊な状態を維持しようと、つまり生きようとする主体性がそこに生まれる。
それが生命の始まりであり、その生きようとする主体性こそが主体的意志である。
みたいな。
物理学者である橋元先生は、基礎的な物理法則から導く形でこのような独自の時間理論を語っていらっしゃいます。
物理学も突き詰めれば哲学です。哲学の領域に踏み込むと、もはや証明も実験もしようがないですが、橋元先生の仮説は非常に納得のいくものだと思います。
橋元理論について論理的かつ正確に知りたい人はどうぞ橋元先生の書籍「時間はなぜ取り戻せないのか (PHPサイエンス・ワールド新書)」を読んでみて下さい。
この本は、用語や概念に関する説明なんかがすごい丁寧で、比較的易しい内容になっています。
パッと見、主婦向けの時間節約術の本かな?と思わせる表紙デザインですが(笑)、中身は読みごたえのある物理学、哲学ですのでご安心、もしくはご注意を。
同じ仮説について、もう少し詳細に書かれているのが、「時空と生命 ~物理学思考で読み解く主体と世界 (tanQブックス)」です。
こちらの方がより専門的な内容だと言えると思います。とは言え一般向けの本なので特に専門知識がなくても読めると思います。
いずれも非常にエキサイティングな内容で、まさに時間を忘れて読み入ってしまいます。
この世はミステリー
もしかしてあなた、今の科学は何でも解明できると思っていませんか?
甘いです。
確かに今の科学力は恐ろしいほどに発達していますが、生命の謎、時空の謎、宇宙の謎、この世はまだまだ謎に満ちています。
そして何より謎めいているのは、様々な謎に挑み続ける私たちの脳そのもの。
この世の全ては脳の中にあるんです。
比喩でも何でもなく、全ては脳の中に在る。
科学のラスボスは自分自身なんです。
自分探しの旅に行っても決して自分は見つかりません。
自分は世界の中心でもあり、この世の果てでもある。
おお、この世はなんとミステリー。
橋元先生、刺激的な時間をありがとうございました。