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人工知能・ディープラーニングについて知りたい人にお薦めの本

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人工知能・ディープラーニングについて知りたい人にお薦めの本

 いやぁ、久しぶりだ。会心の一冊。

 人工知能研究の権威であられるあの松尾豊氏が、人工知能とは何なのか?これから人間社会はどうなって行くのか?を、驚くほど分かりやすく論理的に、そして冷静かつ情熱的に語ってくれている。

 本書を読めば、この21世紀が、如何にエキサイティングな時代かを実感する。

 内容的には割と高度なことも書いてあるが、全くもって難しい本ではない。特別な知識を持っていなくても、すらすら読める。それは松尾氏の文章力と優しさと人工知能研究への愛情が成せる業だ。

 一人でも多くの人に人工知能について興味を持ってもらいたい、そして人工知能についての正しい知識を付けてもらいたい、という松尾氏の思いが端々に感じられた。

 人工知能という無限の可能性を秘めたテクノロジーについて、この本一冊で理解できると言っても過言ではないので、ご興味のある方は是非読んでいただきたい。

 以下、簡単に本書の内容を紹介します。

人工知能とは何か

 人工知能と言う言葉は非常に抽象的な表現である為、その定義は非常に難しい。というより、ある程度解釈に幅があって当然だ。

 第一章では、人工知能という言葉が具体的に何を指しているのか?何を以て人工知能と呼べるのか?について様々な角度から考察している。

 世間で人工知能と呼ばれているものは4つの段階に分けることができるそうで、そのそれぞれのレベルの人工知能の働きを、アルバイト、一般社員、課長クラス、マネージャークラスという会社組織の人材になぞらえて、非常に分かりやすく説明している。

 また、専門家として名の通った方々それぞれの、人工知能の定義づけについても紹介されている。

人工知能研究3回目のブーム到来

 今、盛り上がりを見せる人工知能研究は、3回目の大きなブームなのだそうだ。

 1950年後半~60年代、コンピュータという自動計算器に夢を馳せた第一次人工知能ブーム。

 1980年代、コンピュータに大量の情報を記憶させることで賢くしようと試みた第二次ブーム。

 2000年代~現在、コンピュータの性能の向上、インターネット、及びモバイル端末の普及などによりビッグデータと呼ばれる詳細かつ大規模なデータの収集が可能となったこと、そしてディープラーニングという革新的な技術の登場により、大きなブレイクスルーを果たそうとしている第三次ブーム。

 それぞれの時代に、どんな研究が行われて、どんな成果があり、またどんな限界にぶち当たって来たのか。そして、3度目のブームと言える近年の人工知能研究はこれまでと何が違うのか?どんな技術が確立されてきているのか?などを丁寧に解説している。

ディープラーニングについて

 今、世界中が注目するもっとも熱い研究分野と言えるディープラーニングの仕組みについての解説。これは読んでいるだけでもワクワクする。

 特にコンピュータがディープラーニングによって「典型的な3」「3という字の概念」を習得する方法などは、これぞまさに私たちの脳内で起こっていることと同じではないか!と思わず興奮するに違いない。

 ディープラーニングについては簡単に説明できるほど簡単ではないが、松尾氏の解説は易しい言葉で非常に分かりやすく書かれているので、本書を読めばその概要は十分に理解できる。

 人工知能研究50年来のブレイクスルーと言われるディープラーニングが秘める無限の可能性が感じられる。

人工知能は人間を超えるか

 現時点でもコンピュータは、単純な計算能力などでは遥かに人間の能力を凌駕しているが、本当の意味での知性を備えた人工知能はいずれ人間の知能を超える可能性を秘めている。

 その時、人間社会にどんな影響があるのか?果たして発達しすぎた人工知能は人間にとっての脅威となるのか?

 人工知能は非常に大きな可能性を秘めているだけに、世間では様々な未来予想が語られているが、最先端の研究者である松尾氏は人工知能の脅威についてどう考えているのか?どんな未来を予想しているのか?

 人工知能と生命体との根本的な違いや、シンギュラリティと呼ばれる技術的特異点についても言及しながら、松尾氏が人工知能の脅威について語っている。

変わりゆく世界

 今後、人工知能技術が社会に根付いて行く上で、着実に起こるであろう変化についての解説。

 人工知能に取って変わられる業務にはどんなものがあるのか?逆に、人工知能技術によってどんな事業が新たに生まれるのか?

 また人工知能の根幹技術(OSのようなもの)を一企業が独占してしまうことに関する危惧や、日本、また日本企業が今度、人工知能分野での産業競争に勝ち残る為にクリアしなければならない課題など。

一読されたし

 最近、人工知能に関するニュースが多い。その能力に驚かされるニュースもあれば、中には「これから我々はどうなっていくのか」と不安や恐怖を感じるようなニュースもある。

 しかしそれらのニュースの中には「本当にすごいこと」と「実はそんなにすごくないこと」が混ざっている。また、「もうすぐ実現しそうなこと」や「実現しそうもない夢物語」もある。

 本書を読めば、人工知能と呼ばれる技術の現在の本当の姿、人工知能に何が出来て、何が出来ないのか。がよく分かるので、今、世間を賑わすニュースの見え方も変わってくる。

 人工知能について知りたい方は絶対、読んでおくべき一冊です。

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